美の壺「ほころびを愛(め)でる 金継ぎ」

美の壺 File338「ほころびを愛(め)でる 金継ぎ」
2015年4月17日(金) NHK BSプレミアム放送
21日(火)、23日(木)再放送

今更ですが、やっと見ました。

割れた器を繕うことから始まり、
次第にその傷を目立たせ、愛でるようになり、
終いには、わざと器を割って継いだり、異なる器の破片を集めて新たな器を造るという
創造にまで発展する。

構成がとても解りやすかったです。

■ 壺一、傷を愛でる、あそぶ

宗屋若宗匠が金継ぎの刷毛目茶碗を手元に説明されていました。
壊れた物を直して使うことは自然に対する「詫び」であると。

解釈の難しい「詫び」ですが、
金継ぎを見ている限り、「詫び」が単に質素な美を表すだけの言葉ではない、
ということがわかる気がします。

番組内では、金継ぎの起源についても触れられていましたが、これには驚ろかされました。
土器を漆で継ぐという技術が縄文時代末期に確立されていたとは!

そして茶の湯文化で大きく発展した金継ぎ、その最高峰といわれる

本阿弥光悦作 赤楽茶碗 銘 雪峯

この金継ぎ、時代が下って割れてしまったものを誰かが継ぎ、その際に銘を付けたものだと思っていました。
ところが、窯から出たときにすでに割れていたのですね。
当初からこの金継ぎが施されていたとは、光悦さま恐るべしです。

そして、古田織部がわざわざ器を切って継いだという逸話が残る茶碗

大井戸茶碗 銘 須弥(別銘 十文字)

金継ぎは、この時代に既に創造の域に達していたということでしょうか。

■ 壺二、漆を知り 傷を知る

金継ぎの工程を細かく見ることができました。

金の発色を良くするために、下地に朱漆を塗ってその上に金を蒔いているということには驚きです!
お椀やお盆など黒の漆器で、色に深みを増すために下地に朱漆を塗るのは見たことがありますが。

昔の人は色の裏に色を見るという繊細な色彩感覚を持っていたのですね。
現代人は自然との距離が遠のいてしまったためか、このような感覚を忘れがちです。
しかし、決して失いたくないものです。

朝ドラ「まれ」でも塗師がフィーチャされていますし、漆がもっと見直されるといいですね。

■ 壺三、再生は創造をはらむ

志ら玉の柴山笑庵さんが亭主となり、千宗屋若宗匠を呼継ぎの茶碗でもてなすという趣向。
亭主は呼続ぎの茶碗をもって、若宗匠に「まいった!まいった!」と言わせたいとのこと。

床は東常縁(とうつねより)の「時鳥幽」。
「ほととぎす」を「ほとんどきず」とかけて金継ぎのテーマを表しているということでした。
洒落がきいています。

菓子器は安土桃山時代の黄瀬戸呼継ぎ
そして主茶碗は、
織部、志野、黄瀬戸と安土桃山時代の陶片を10以上集めた呼継ぎ茶碗。
亭主は謙遜して珍碗とおっしゃっていましたが、安土桃山時代の茶碗への情熱が溢れだして、
その情熱で割れてしまったかのようなお茶碗でした。

若宗匠は「キュビズムのような茶碗」「徹底的に攻めた金継ぎ」と形容していましたが、
「まいった!まいった!」とはならなかった?ようですね。
和やかな雰囲気でした。

ギャラリーウチウミ キリスト教美術・骨董品 港区麻布十番
http://www.gallery-uchiumi.com/

漆芸【URUSHI-ART】 | 栃木県宇都宮を拠点に漆芸活動を展開する漆工芸作家、宮原隆岳と宮原楓翠のホームページ
http://www.urushi-art.com/index.php

うるし部ブログ
http://tadashiiben.blog.shinobi.jp/

陶芸工房 RITTaU(鴨下 知美)
http://rittau.jimdo.com/

御懐石 志ら玉
http://www.siratama.jp/

美の壺「ほころびを愛(め)でる 金継ぎ」 – NHK
http://www4.nhk.or.jp/tsubo/x/2015-04-17/10/13501/

(NHK水曜 F.M. 記)



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