日本の住宅から姿を消しつつある和室

今日、義母のところを訪れた際、新聞の切り抜きをもらいました。
現在、拙宅の建築計画が持ち上がっているため、参考になればとのことでした。
ありがたいことであります。

中日新聞切り抜き

そこには、二畳の組み立て式茶室が紹介されており、
リビングの片隅にでも置いて、日本人が忘れかけている風習や四季の移ろいを感じる暮らしを取り戻しては、といった内容でした。

写真を見る限り、そこまで本格的なものではないようですが、価格も手ごろで、リフォームするより随分安く和の空間を得られそうです。

この記事でも触れられていましたが、確かに日本の住宅からすごい勢いで和室が姿を消しているのを感じます。
新築のマンションや建売り住宅を見ても、和室が造られることは、まずないようで、あったとしてもリビングの片隅に畳コーナーのような形で造られることが多いようです。
需要がないと言ってしまえばそれまでかもしれませんが、和室を造ると、材料費や職人の工賃などで価格が上がってしまうことが、大きな理由となっている気がします。

大手のハウスメーカーなどでは、工場で造られた部品を現地でプラモデルのように組み立てるだけという工法が主流のようで、更地だったはずの場所に数週間後に家が建っていてビックリするということが多々あります。
工期短縮という点ではすばらしいのですが、これでは職人も育たないはずです。
職人が育たなければ工賃も上がり、さらに和室を造る施主が減り、職人が減るといった悪循環にはまっているように思います。

もう一つ和室の障害になっていると思われるのが、建築基準法です。
建築基準法では、火災の延焼を防止するため、木材の使用に厳しい制限をかけており、
例えば準防火地域で3階建ての建物を建てる場合は、外壁に木材を使用してはいけないとか、
2階建てでも、隣地から何メートル、道路中心から何メートルの部分には木材を使用してはいけないなど、様々な規制があるようです。
いくらがんばって和室を造ろうと思っても、法律にひっかかるとなると、何ともしようがありません。

はたして拙宅に和室はできるのか。
現状、私にもわかりませんが、なるべく世の流れに抗って行きたいと思います。

和室から仲秋の名月が見られたら、そんな贅沢なことはないです。

(NHK水曜 F.M. 記)



日本の住宅から姿を消しつつある和室」への5件のフィードバック

  1. いわさき

    はじめまして。岩崎と申します。
    ブログの記事興味深く拝見しました。私は茶室や数寄屋の設計をしているものですが、茶室建築の素晴らしさを、もっと現代の住宅に取り込めないかと考えていて、特にお茶のお稽古をされている方と一緒に、そうした住宅が造れたら、と思っています。何かお役に立てることがありましたら、お気軽にご連絡ください。当方京都で設計事務所をしていますが、生まれ育ちは名古屋ですので、名古屋の方のお役にたてればとも思います。よろしくお願いいたします。
    岩崎建築研究室 岩崎 泰

    返信
    1. NHK水曜F.M.NHK水曜F.M. 投稿作成者

      コメントをいただきまして、ありがとうございます。
      岩崎様のブログは以前から存じ上げており、時おり拝見して勉強させてもらっていましたので、驚きました。
      名古屋のご出身だったんですね。
      同郷の方が京都の数寄屋建築の世界で活躍されていることは、何だか嬉しいです。
      私は極「中」流の暮らしをしておりますので、本格的な茶室を造ることは夢のまた夢なのですが、茶室はお金がかかるから無理と言って諦めてしまうのも、違う気がしています。
      かつての詫び数寄達のように、分相応、持たない者は持たない者なりに、知恵をしぼって、もがいて茶室を創造して行けば、この世界はもっと面白くなるかなと、
      素人ながらに考えております。
      もっとも、この”知恵”のしぼりかたによっては、単なる本格茶室の廉価版になってしまったり、茶の湯の本質から外れた変な現代茶室になってしまったりすると思いますので、難しいのでしょうが・・。

      返信
  2. いわさき

    拙ブログを見てくださったとのこと有り難うございます。生まれ育ちは名古屋で、大学から京都。名古屋にいる頃はお茶とはなんの関わりもありませんでしたが、不思議なご縁で茶室の設計をするようになりました。故郷に錦を、ではありませんが、名古屋でお茶に関わる方のお役に立てれば、とも思います。
     庭に独立した茶室を建てるとなると、相当な金額が掛かりますが、住宅を新築する際に、一室を和室にお茶のできるようにする、のであれば、特別に贅沢なことではないと思います。また小さな小部屋を設け、手の掛りすぎない小間にするなど、「知恵」の絞り方は色々あると思います。ただ建築と茶道と両方に知識がないと、仰るように、廉価版になったり、変な現代茶室になったりするので、茶道を学ぶ設計者として、皆様のお役に立てればと考えています。何かございましたら、お気軽にご連絡ください。

    返信
    1. NHK水曜F.M.NHK水曜F.M. 投稿作成者

      お返事を頂きまして、ありがとうございます。
      確かに建築と茶道の両方の知識を有した建築事務所というのは貴重ですね。
      名古屋でも一般の住宅も設計できて茶室も設計できるような事務所はないのではないかと思います。
      もちろん外注の形では茶室も可能なのでしょうが、一体的な設計は難しいかもしれません。
      拙宅はといいますと、地元の建築事務所で初期の設計段階に入ったところですので、
      岩崎様にお願いすることは叶わないのですが(その時は市外の設計事務所にお願いするという発想がありませんでした)、
      和室周りで困ったときは相談させてもらうかもしれません。
      勝手ですが、その時はお知恵を貸して頂ければ嬉しく思います。

      返信

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