犬山の有楽苑に於いて、
旧正伝院書院の襖絵が公開がされるとのことで、行ってまいりました。
年に二回公開されているそうです。
旧正伝院書院は、織田有楽斎が京都建仁寺の旧正伝院書内に隠居所として造ったもので、
如庵と共に京都から東京の三井家、神奈川県大磯の三井家別邸を経て、現在の犬山の地に辿りついたとのことです。
隠居所として造られただけあって、書院といっても小さく簡素にまとめられた品の良さを感じました。
先日、名古屋城本丸御殿のギラギラの書院を見学したばかりなので、余計そう感じたのかもしれません。
この簡素な建物の中に狩野派や長谷川等伯らの襖絵があるとのことで、
どのようなものかと色々と想像していましたが、やはり建物に合うように墨絵でまとめられており、
一人の絵師が描いたわけではないにも関わらず、全体としてまとまっている印象を受けました。
旧正伝院書院で見ることのできた襖絵は、
長谷川等伯「四愛図」
狩野山雪「山水図」
狩野常信「松竹図」
鶴沢探山「琴棋図」
の4種類で、
床の間の壁の絵は、傷みがひどく、描いてあるものをぼんやりとしか確認できませんでしたが、狩野安信だったと思います。
説明してくださった方の話では、
狩野派の絵と長谷川等伯の絵が同じ空間に存在することは珍しいそうで、
これらの襖絵は時代時代で付け足されてきたのではないかとのことでした。
また、等伯の四愛図は、
周茂叔(しゅうもしゅく)の愛蓮、
黄山谷(こうざんこく)の愛蘭、
林和靖(りんわせい)の愛梅、
の3場面のみで、
陶淵明(とうえんめい)の愛菊
が欠けているそうで、この愛菊図は誰とは教えてくれませんでしたが、
個人の方が所有されているとのことでした。
美術館で襖絵を目にすることは多いですが、
襖の絵ですので、やはり建物と一体のものとして見るのが一番だと感じました。
絵のすばらしさだけでなく、絵を描いた人、描かせた人、その空間での人々の営みなどが、
より立体的に感じられるような気がします。
日本庭園・有楽苑(うらくえん) | 国宝茶室・如庵(じょあん) | 公式サイト
http://www.m-inuyama-h.co.jp/urakuen/
(NHK水曜 F.M. 記)
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