松花堂庭園美術館

「待庵を見に行ってきました」の続きです。

松花堂庭園美術館

待庵を拝観した後、2時間ほど時間がありましたので、松花堂庭園美術館に寄ってきました。
待庵から車で20分ほどの所にあります。
より近くに聴竹居や水無瀬神宮の燈心亭など見たいところが多くあったのですが、
聴竹居は曜日が合わず、燈心亭は5人以上という制限のため、拝観は叶いませんでした。
またの機会に期待したいと思います。

松花堂庭園美術館は、江戸時代初期の文化人で茶人の松花堂昭乗をテーマにした庭園と美術館です。

お茶をやらない人でも松花堂弁当は知っているのではないでしょうか。

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By 663highland663highland, CC 表示 2.5, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=1072256

松花堂弁当は松花堂昭乗が農家の種入れを煙草盆などに見立てて使用していたものを
吉兆の湯木貞一が弁当箱に見立てたものだそうです。
二段階の見立てによるものだとは知りませんでした。
松花堂庭園美術館内には吉兆松花堂店があり、元祖松花堂弁当を頂くことができます。

松花堂庭園美術館の庭園は竹を中心にした広大な日本庭園として整備されていますが、
松花堂庭園美術館の見どころは、何と言っても松花堂昭乗が詫び住ました草庵「松花堂」です。
これは復元ではなく、元々石清水八幡宮のある男山にあったものが移築されているとのことです。
しかし、残念ながらここも撮影禁止。

松花堂

茅葺の庵の中は二畳間とおくどさんのある土間に大きく分かれています。
茶の湯の空間としても限界かと思われる二畳間ですが、さらにそこに住んでしまうということが驚きです。
住むために必要な竈、仏間、戸棚が配置され、床の間は必然的に狭く浅くなっており、
炉は畳の中ではなく袋戸棚の下に丸炉として配置されています。
狭い空間で暮らす工夫があふれているようでした。

松花堂内の説明書きにありました。

「水を運び、薪をとり、湯をわかし、茶をたてて、仏にそなえ人にもほどこし、吾ものむ」
という茶の湯の原点を踏まえたものと言われています。

世俗にまみれている者にとっては理想の暮らしです。

待庵と松花堂、同じ二畳でも全く方向性の異なる二つの庵を同じ日に拝観できたことは、貴重な経験でした。

茶の湯専一で細く深く茶に入り込んでいくような待庵に対して、
日々の生活全体を庵に持ち込んで、茶をその生活の一部として取り込むような松花堂、
前者を珠光、紹鴎、利休という流れだとすると、
後者にも師弟関係は無いにしても、長明、兼好、昭乗といった流れがあるのでしょうか。

(NHK水曜 F.M. 記)




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