遅れましたが、火曜会の12月のお稽古風景、ブログにアップさせていただきます。今回は木曜会の方もお見えになられて、新鮮な気持ちでお稽古させていただきました。まずもって、先生とお道具などお稽古の準備をしていただいた先輩の方々にお礼申し上げます。
今回のお稽古、主菓子に「空也餅」をお出しいただきました。この時期になぜ空也餅なのか、気になって調べました。もともとは半つきの餅を小さくちぎり、つぶしあんをくるんで丸めた和菓子。上野池之端にあった菓子店空也の創製といわれるそうで11月から2月までの販売だそうですが、半つきの餅でもありませんし、お菓子屋さんの意図は別にあるようです。先生のご説明ですと、空也上人と関連付けているからこの時期におだしいただいたようで、背中を丸めてお辞儀しているような形をしているとのことです。本当、そのように見えます。
それではなぜ12月に空也上人が関連付けられているのでしょうか?私の自宅に六波羅蜜寺のパンフレットがありました。六波羅蜜寺は第六十代醍醐天皇の皇子、空也上人が951年に開創されたお寺です。六波羅蜜寺の年中行事一覧では、12月13日から除夜まで空也踊躍念仏(くうやゆやくねんぶつ)厳修とあります。どうやら12月に空也餅というのは、ここに関係があったようです。
空也踊躍念仏の説明をパンフレットから拝借、一時鎌倉時代にお念仏は弾圧された時期があった。しかし、「念仏の祖」、空也上人が開かれた当山ではその法灯を絶やすことは出来ない。そのようなことから、薄暮勤行として夕暮れ迫るころに本堂の内陣において密かにお念仏を修し、その次第はなく歴代住職の口伝で現在まで伝えられた、このお念仏は「南無阿弥陀仏」という外部に聞かれてわかる言葉は唱えず、「モーダナンマイトー」「ノーボーオミトー」というように外部に聞かれてもわかりにくく唱え、通常の勤行の中に組み込みこまれ、いつでもやめることができるようになっている。これは当時の弾圧から逃れる名残りとされている。しかし、その動作、所作は空也上人の当時のままを守り続けている。このお念仏は「罪業消滅」、つまり一年間私たちが人として世に行かされている中で知らず知らずに犯した罪業の消滅と新しき年がよき年であることを祈るお念仏であり、ご参拝者とともに修する一年を締めくくる修行である・・とあります。
※写真の空也上人立像は運慶の四男康勝の作で、念仏をとなえる口から六体の阿弥陀が現れたという伝承の写実だという説明がございました。下の方は平清盛座像です。
まっさらな気持ちで新しい年を迎えようという願いが込められていたのですね。思わずうなってしまいました。
※六波羅蜜寺で元旦から3日間に出される皇服茶(おおふくちゃ=大福茶)の茶筌授与式事始めも12月13日に行われるそうです。
お薄器は金輪寺溜塗のお棗をご用意いただきました。これにも説明がございます。ネットから拝借いたしました。
金輪寺(きんりんじ) とは、薄茶器の一種で、和物の塗物茶器の初めとされます。
胴は寸切りの如く、置蓋で、蓋の甲が丸みをもち、掛かりが少し外に広くなっています。こんりんじ、金林寺ともいいます。
小型の経筒を茶器に転用したとも、後醍醐天皇が金輪寺で使用した茶器ともいわれます。
『今井宗久茶湯日記書抜』天文24年(1555)4月1日の利休会に「キンリンシ茶入」とあり、江戸時代初期までは濃茶器として用いられましたが、のち薄茶器として使用されたとされています。・・・以下略しますが、後醍醐天皇から足利義政、織田信長、などに伝来したものもあるそうです。金輪寺とはこの形のことをいうのですね。年の瀬に、和物の塗物茶器で一番歴史深い形のお棗をお使いいただいて、新年を迎えたら初心に帰ろうという気にさせていただきました。
お掛物は嘉辰令月(かしんれいげつ)です。意味は嘉辰は良い日、令月は良い月。辰は日を表しているそうで、良い日良い月というめでたいお掛物だそうです。無事に年末のお稽古ができること、ありがたく思います。
お花は西王母に初嵐。お花入れは二重切りをお使いいただきました。寒さの中にも命の強さを見た気がいたします。
今回も先生、先輩方のおかげで楽しくお稽古をさせていただきました。重ねてお礼申し上げます。ありがとうございました。
納会御茶事の前に投稿させていただこうと思っておりましたが、越年いたしましたことお詫び申し上げます。(M.D記)
年末の「空也餅」にはそんな深い思いが詰まっているんですね。
大変勉強になりました。
しかし、自宅に六波羅蜜寺のパンフレットがあるMさんって・・・素敵です!
F.M様、過分なお言葉いただきまして恐縮です。パンフレットは、六波羅蜜寺にたまたま立ち寄ったことがありまして、持ち合わせていました。経験に乏しく引き出しが少ないので、ひとつずつ勉強させていただこうと思っております。文面も、おかしなところもあるかと思います。気になることございましたら、お伝えくださいませ。今後ともよろしくお願いいたします。