略盆点前の復習

先日の御稽古で、略盆点前をする機会がありました。
入門当初に習ってから、あまり触れることなく来てしまいましたので、
実に数年ぶりの略盆点前でした。

とはいっても、薄茶平点前を略した点前だから、問題ないだろうと思ったのですが・・・。

結果はボロボロ。
あまりの腑甲斐なさに深く反省し、改めて復習することにしました。

略盆点前は、平点前を簡略化したものということですので、平点前と共通する部分は多くあります。

武者小路千家のテキスト(略盆点前)には、次のように記されています。

武者小路千家十二世愈好斎、十三世有隣斎両家元の創意と工夫により、昭和十年代の中頃に略盆点前が生み出されました。
・・・略・・・
この度、二十一世紀、更なる心の時代を迎え、この今までの略盆点前に伝統の茶の点前の所作を、
今少し取り入れる必要性を感じ、更には種々の点前に応用していただけるよう、
茶杓の清め方、茶筅とおじ等を基本の形に戻し、私の略盆点前とさせていただきました。

変更前の略盆点前を知らないのですが、当代お家元による変更で、より平点前に近づいたようです。
しかし、平点前と違う部分もいくつかあり、
そこが間違えやすいと思いますので、
略盆点前を基準にして平点前と異なる点をまとめてみました。

【 略盆点前で平点前と異なる所(武者小路千家) 】

・道具の種類
 [平点前]  釜、水指、柄杓でお湯や水を扱う。
 [略盆点前] 水指(水)は使わない。釜(蓋置)と柄杓を使わずポットなどで代用。

・お点前を始める前の帛紗の場所
 [平点前]  腰に付ける。(着物前提)
 [略盆点前] 盆の中央手前端にたたんで仕組む。(洋服前提)

・建水を進めてから薄茶器を清めるまでの流れ
 [平点前]  左手で茶碗をとり、右手で膝前に置く。薄茶器を右手でとり茶碗と膝の間に置く。(茶碗→薄茶器 の順)
 [略盆点前] 薄茶器を右手でとり、盆の上、手前端(時計の六時)に置く。茶碗を右手で取り、盆中心に移す。(薄茶器→茶碗の順)
 結果、平点前と略盆点前で同じ配置となる。(手前に薄茶器、奥に茶碗)

・清めた後の薄茶器、茶筅の置き場所
 [平点前]  薄茶器を左、茶筅を右。
 [略盆点前] 薄茶器は盆の左端(時計の九時)、茶筅は盆の向こう端(時計の十二時)。

・清めた後の茶杓の置き場所
 [平点前]  薄茶器の上。
 [略盆点前] 盆の右前横(時計の四時半)。

・茶碗を清めた後の茶巾の置き場所
 [平点前]  釜蓋の上。
 [略盆点前] 盆の右端(時計の三時)。

・おしまい
 [平点前]  水。
 [略盆点前] 湯。

お点前を習う際は、略盆点前→薄茶平点前という順番で習いますが、
略盆点前が薄茶平点前を省略したものであることを考えても、
略盆点前→薄茶平点前→略盆点前 と復習することで、より理解が深まる気がしました。

略盆点前も流派によって違うようですので、
時間を見つけて、他流派の略盆点前も独習してみたいと思いました。

(NHK水曜 F.M. 記)




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