落語の演目に「茶の湯」があります。
先日のNHK Eテレ「日本の話芸」でも春風亭昇太さんの「茶の湯」が放送されていました。
本編もさることながら、枕(本編に入る前の喋り)もすごく自然な流れで面白かったです。
聞いていておやっ?と思ったのが、
ご隠居が知ったかぶりで茶道具をめちゃくちゃな名前で呼ぶ場面。
こんな場面あったかな?と思ったのですが、この場面、上方落語にはないようです。
そしてこの場面、演じる落語家によっても異なるようで、
先日の春風亭昇太さんの場合、
大きい茶碗 → 熊茶碗
中くらいの茶碗 → 犬茶碗
小さい茶碗 → 猫茶碗
茶杓 → ねずみ柄杓
茶筅 → 竹くらげ
でしたが、
帛紗 → 雑巾
棗 → あんず
茶杓 → ゾウの耳かき
茶筅 → 座敷ざさら
といったパターンもあるようです。
また、長屋の者たちが茶の湯に招待されたのを迷惑がって引越そうとする場面、
ここすごく好きなのですが、六代目三遊亭圓生さんが加えたものだそうです。
その時代、その人、によって内容が少しづつ変わっていくのも落語の面白いところですね。
「茶の湯」以外にも「はてなの茶碗」や「井戸の茶碗」など茶の湯を題材にした演目は多くあります。
江戸時代、大衆演芸の題材になるほど茶の湯が一般に浸透していたことがよくわかります。
今でいう、ゴルフやカラオケくらいの感覚でしょうか。
現代の茶の湯は、私のような庶民でも触れられるという意味では大衆化を継続していますが、
なんとなく、良い家柄の人がやるもの、特別な教養を持った人がやるもの、
といったイメージが強くなって、少し敷居が高くなっているように感じます。
それが良いか悪いかはわかりませんが・・・。
(NHK水曜 F.M. 記)