先日の
の続きです。
三千家の間でも相違の多い盆点前、
その違いは点前を始める前の道具の仕組み方から見られるようです。
表千家では盆の左寄り向こうに常のように仕組んだ茶碗を、右手前に茶器を置き、上に使い袱紗を右がわさ(輪)になるように被せます。
裏千家では盆の中央向こうに茶器を置き、中央手前に常のように仕組んだ茶碗を置きます。
武者小路千家では盆の中央左寄りに常のように仕組んだ茶碗を、中央右寄りに茶器を、中央手前に帛紗を置きます。
薄茶平点前で茶碗と茶器を運んで置き合わせる際の配置は、茶碗が左で茶器が右ですので、
これら盆点前が薄茶平点前を省略したものと考えると、
武者小路千家の仕組み方が最も自然であると感じます。
これは想像ですが、
表千家も裏千家も最初は武者小路千家のように茶碗を左で茶器を右という
薄茶の点前と同じ配置にしたかったのだと思います。
しかし、そうしなかったのは後々の点前に無理が生じると考えたからではないでしょうか。
実際、最初の状態で薄茶の点前に最も近かったはずの武者小路千家の略盆点前ですが、
先に進むにつれて薄茶の点前からは少し遠ざかる印象を受けます。
これは最初の置き合わせの美を求めたことの代償なのかもしれません。
逆に表千家と裏千家は、後の点前を薄茶の点前に近づけることを重視した結果、
最初の置き合わせを妥協したということではないでしょうか。
あくまで想像ですが・・・。
流派による作法の違い-略盆点前その1
流派による作法の違い-略盆点前その3
流派による作法の違い-略盆点前その4
(NHK水曜 F.M. 記)