八月の火曜会は、他の曜日でお稽古されている方もお見えになり、にぎやかなお稽古となりました。暑い日々の中、お稽古のご用意いただきました、先生、先輩方にお礼申し上げて先に進ませていただきたいと思います。
寄付きには、「五山送り火」のお扇子をお飾りいただきました。毎年旧の7月16日、五山で炎が上がり、お精霊(しょらい)さんと呼ばれる死者の霊をあの世に送り届けるとされているそうです。右から、東山如意ヶ嶽の「大文字」、松ヶ崎西山・東山の「妙・法」、西賀茂船山の「船形」、金閣寺付近大北山(大文字山)の「左大文字」、嵯峨仙翁寺山(万灯籠山・曼荼羅山)の「鳥居形」の五つが五山だそうです。鳥居型の炎は他山と違い、お寺の檀家さんではなく、保存会の有志が松明を用いて炎を上げているなど、それぞれの山にそれぞれの流儀、歴史があるようですが、ここでは説明は割愛させていただきます。
主菓子は「涼風」 団扇の形を模した涼を感じるお菓子。お味も甘さ控えめで心が和みます。
笹巻のお菓子ですが・・銘を書き忘れてしまいました。申し訳ございません。わらび餅のような食感のお菓子でした。
つるべのお水指をご用意いただきました。本来は井戸から汲んだように濡れているとのことですが、畳の間なので、濡れたタオルにて上から湿らせてあります。こういったお道具の水屋での扱い、お点前の中での蓋の開閉などもお稽古させていただけることも貴重な体験です。先生ありがとうございます。
白漆のお棗。葦のお蒔絵。立秋を過ぎてこれから少しずつ日も短くなっていきますが、そんな雰囲気を想像させるお棗かと思います。だんだん色合いが変わってきたと先生がお話になられていました。
主茶碗は黄瀬戸のお茶碗をご用意いただきました。ちょうど飲み終えると菊のような形が見えるというご趣向かと思います。器の形からか、花が咲いているようにも見えます。重陽に先がけて、お使いいただきました。楽しいお茶碗です。
替え茶碗は朝顔のお茶碗をご用意いただきました。主茶碗との組み合わせで季節の移り変わりを花の模様、絵柄から感じます。
お掛物は「夏雲寄峰多」。 夏空に見られる入道雲が勢いよく湧きあがり、珍しい形をした峰にみえる様子だそうです。「多し」とあるので、あちらこちらに見られるということでしょうか。出典は中国の詩人、陶淵明(356~427)の
「四時の詩」の中の句だそうです。
春水満四沢 春水(しゅんすい)、四拓(したく)に満つ
夏雲多奇峰 夏雲(かうん)、奇峰多し
秋月揚明輝 秋月(しゅうげつ)、明輝(めいき)を揚(あ)げ
冬嶺秀孤松 冬嶺(とうれい)、孤松(こしょう)秀(ひい)ず
春には雪解け水が沢という沢に満ち溢れ、
夏には峰のような入道雲がむくむくと湧き起こり、
秋には名月が皓々と輝き、
冬には寒々とした山嶺(さんれい)の中に緑の松だけが一本高くそびえている
という四季の佳趣を詠んだ美しい詩とあります。
からっとした青空が目に浮かびます。
お花はたでの花、お花入れは釣り船。入道雲に川下りの情景が浮かびます。お花も上品です。また、根の付いた花のような雰囲気です。楽しませていただきました。
後半のお稽古はむくげをご用意いただきました。かわいらしいです。
八月は暑さの中にも「涼」を感じるお取り合わせご用意いただきまして、楽しくお稽古させていただくことができました。いろんなお道具などが配置されることによって、ひとつの空間がそれ以上の広がりを見せるのですね。不勉強で知らないことばかりですが、貴重な機会をいただいていることを忘れず、一歩ずつ学んでいきたいと思います。先生、先輩方に重ねてお礼申し上げます。(M.D記)