「有楽苑で旧正伝院書院襖絵公開」、「如庵の中に入って」の続きです。
有楽苑には「如庵」のほかにも「元庵」という茶室があります。
この「元庵」は有楽斎が大阪天満の屋敷に設けていた茶室を古図に基づいて復元したもので、「元庵」は表千家十三代即中斎による命名だそうです。
元々は、この大阪天満の茶室も「如庵」と呼ばれていたようで、国宝の「如庵」より前、有楽斎がもう少し若い頃の作だそうです。
確かに若さと言いますか、いろいろな事を試してみたくて仕方がないといった勢いを感じます。
間取りは三畳台目で、床の前に点前座が位置する亭主床。
洞庫が点前座の前にあり、竹の中柱や幅広の袖壁、次の間との境の巨大な火燈口、など大変自由な印象です。
宗旦は有楽斎をあまり認めていなかったといいますが、
乞食宗旦と呼ばれるほどわびを極めた茶人と、この有楽斎の自由な感じとでは相容れなかったのもうなずけます。
しかし、こうした実験的、挑戦的な試みを繰り返して、如庵に結実したとすれば、
元庵は、なくてはならなかった習作ということになるのでしょうか。
有楽斎の心意気、現代の我々も学びたいものです。
(NHK水曜 F.M. 記)