火曜会4月のお稽古

4月のお稽古は、前半はお花見の余韻が残る時節であったこともあり、桜にまつわる様々なお話が話題に上がりました。特に木母寺のお話は、昨年お家元が言及されたこともあり、大いに盛り上がりました。後半は緑がちらほら、お菓子も桜川から、青柳、木の芽上用と徐々に新緑の季節への移り変わりを感じました。また、先月のテレビ放送でも使われていた自在棚をご用意いただきましたことで4月のお稽古はさらに楽しく感じられました。先生のお心遣いありがたく思います。ご用意いただいた先生、先輩方にお礼申し上げます。

4月お稽古風景

4月初めの主菓子は「桜川」。茨城県桜川市の「桜川のサクラ」は古来より「西の吉野、東の桜川」と並び称されるほどのサクラ(山桜)の名所だそうです。後撰和歌集で紀貫之も「常よりも春辺になれば桜川 波の花こそ間なく寄すらめ」と詠んでいるそうです。お菓子器は紅葉の透かしが入っています。

 

4月お菓子桜川

4月後半木の芽上用。緩やかな季節の移ろいを感じました。

4月お菓子木の芽餅

お干菓子の名前は・・申し訳ございません。確認しておりませんでした。桜の形の菓子器をご用意いただきました。縁の部分が朱色をしているところ、澤瀉棚 ではありませんが、爪紅(つまくれ)というのでしょうか。季節感いっぱいです。

4月お干菓子

 

棚は自在棚、お水指は赤絵、蓋置は三唐子をご用意いただきました。お写真は後飾りの様子なのですが、私がお点前させていただいた後の様子です。実は三唐子の置き方が間違っています。正面から見て赤い唐子が右に来る置き方が正しいです。正しく置いた写真が取れませんでした。お詫び申し上げます。

4月自在棚

赤絵は皆さんご存知かと思いますが、一応辞典で調べてみました。

赤を主調とし,緑・紫・青などの顔料で上絵付けをした陶磁器。中国では宋代から見られ,日本では正保年間(1644~1648)に柿右衛門が取り入れ,同時期に九谷でも行われるようになった。

先生も年代によっていろいろなものがあるとおっしゃられていました。細かく 調べてみますと、宋代から明の万暦年間に景徳鎮(陶磁器で有名な中国の地級市)で作られた万暦赤絵、九谷焼きから、有田焼、本当様々ございました。絵柄などによる区分けもあるのかもしれないのですが、そこまでは調べられませんでした。

 

自在棚の説明は拝借させていただきました。

自在棚(じざいだな)は、志野棚(利休袋棚)の中棚と天板を取り去った下の部分をもとにした棚で、杉木地で、欄干と腰張りのある地板の上に、四方に香狭間透(こうざますかし)のある戸袋を置き、戸袋は手前側が建具になっていて横引きに開けることができる大棚です。
自在棚は、武者小路千家八世 一啜斎(いっとつさい)休翁宗守(きゅうおうそうしゅ)が好んだ棚です。
自在棚は、戸袋と欄干を自在に置き替えることにより、炉と風炉、左右いずれの勝手にも用いられるためこの名があります。
自在棚は、炉に用いるときは、地板を右、戸袋を左にし、風炉に用いるときは、地板を左にし、戸袋を右にして使います。
自在棚は、武者小路千家十一世 一指斎(いっしさい)が桐木地で好んでいます。

香狭間透かしとは、上部は、火灯形 下部は、椀形(わんがた)の曲線からなる形をいう。
透かし彫りなどに多用される。

お稽古中に先生が香狭間透かしのことをおっしゃられていたのですが、私は聞き逃してしまいました。透かしがどのような名前であったのかとても気になっていたのですが、知ることができてうれしかったです。

お棗は遠山蒔絵なのですが、よく使うからという理由で今回お写真は見送らせていただきます。

主茶碗 黒織部

4月黒織部

黒織部、織部黒の区別があるようです。混同されているような部分もございますが、説明文がございました。

織部黒と黒織部は、この天正黒と同じ技法である事に違いはありませんが、器形は織部好みとなり沓形でデフォルメされた物となっています。
この織部好みの作品のうち、総体に黒釉の掛けられたもので紋様などが無いものを織部黒と言い、黒釉を掛け分けて窓を作り、そこに紋様を描いたものの事を黒織部と呼んでいます。

とありました。そういった区分けがあること自体を知らずにいました。

替え茶碗は蓮華のお茶碗をご用意いただきました。

4月茶碗蓮華

4月8日はお釈迦様の降誕の日、ということで蓮華のお茶碗ご用意いただきました。お釈迦様に関することは多岐にわたるようなので「花まつり」のご説明のみにとどめます。

4月8日は、お釈迦さまのお誕生をお祝いする「花まつり」の日です。

お釈迦さまは、今からおよそ2500年前、現在のインド国境に近いネパールの地、ルンビニーの花園でお生まれになりました。お釈迦さまの誕生日のお祝いを「花まつり」というのはこのためです。

シャカ族の王子としてお生まれになったお釈迦さまは、「ゴータマ・シッダールタ」と名づけられました。一般的に「お釈迦さま」や「釈尊」と呼ばれますが、これは「シャカ族の尊い方」という意味を表す尊称です。

伝説では、お生まれになってすぐに七歩進み、右手で天を、左手で地を指差し「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」と宣言されたといわれています。この言葉は「人は誰もが、かけがえのない命を生きている」という、仏教のもつ人間尊重の精神を端的にあらわしています。またこの時に、お釈迦さまの誕生を祝った竜王が甘露の雨を降らせたとも伝えられています。

「花まつり」は、曹洞宗寺院だけでなく、多くの仏教寺院や仏教系の幼稚園、学校などで、広く行われています。ルンビニー園の誕生の様子を表した「花御堂(はなみどう)」を飾り、その中央には天地を指差した誕生のお姿を安置し、甘露の雨を模した甘茶をかけ、華やかにお祝いされます。

以上

仏教的な行事はどこか修行を思わせるようなものが多い中、花まつりはどこか異国の雰囲気を感じる行事ですね。

 

お掛物舞春風

「鉄槌舞春風」、「羽衣舞春風」、「春風百花舞」などございましたが、「舞春風」には「春風に多くの花びらが吹かれて舞っている。のどかで、鮮やかな春の風景。」という説明がございました。桜の季節によく似合うお掛物ですね。

4月○舞春風

お花は様々な椿を浮かべていただきました。お花入れは輪島。炉の季節の終わりに炉の間美しく咲いて私たちを楽しませてくれた椿に感謝の気持ちを込めて椿供養するのだそうです。つぼみでなく、咲いた状態のものを浮かべるそうです。多種多様な椿をご用意いただいたこともございますが、精一杯咲ききった感じがとても印象的です。

4月椿供養

後半は卜伴に菜の花。卜伴と月光は同じであるということを初めて知りました。お花入れは青磁で瓢です。先代の諏訪蘇山作だそうです。奥様は千家十職の中村宗哲だそうです。今はお二人のお子さんである方々が、それぞれの跡目を継いでいらっしゃるそうです。小振りで洗練された雰囲気のあるお花入れのように感じました。全体的な色合いがとても春らしいと感じました。

4月青磁お花入れ

4月も様々なご趣向をご用意いただきまして、本当にありがたく思います。至らない私でも、季節の細やかな移ろいを感じる心が少しずつ芽生えてきているように思います。月並みではございますが、先生、先輩方に重ねてお礼申し上げます。(M.D記)



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