「デザインの梅干」第4回

NHK Eテレ「デザインの梅干」第4回

ものの価値とは何なのか。
「価値のデザイン」というテーマで構成された番組でした。

1円玉から500円玉まで、硬貨のデザインはそれぞれの金額に相応しいデザインになっているという話から始まって、
同じ金額で買えるものを集めても、それらは人によって価値のあるものもあればないものもあるという話に。
そして自分のカバンの中で一番金額の高いものと一番大事なものは異なるということを考えさせ、
他人がある目的で作ったものを他の人が違う目的で使用することによって、使う人が別の価値を見出すことができるという方向へ発展しました。
これを「見立て」といいます、と。

この一連の流れが、とても自然に構成されていて非常に解りやすかったです。
自分も学生の頃にこんな授業を受けたかったと思いますし、
これからの子供たちにも受験勉強の傍ら、こういったことも学んでほしいと思います。

佐藤卓さんの印象深かった言葉。

付加価値という言葉はよくない。
価値は本来そこにあるもので、見い出すものであって付加するものではない。
外部から付加するという考えだと本質を見失うし、薄っぺらですぐに剥がれてしまう。

なるほど、確かにその通りだと思いました。

「見立て」の流れで登場した宗屋若宗匠は、次のように解説されてていました。

桃山時代、
茶の湯の世界では、中国や朝鮮の道具を有難がり、政治的な権威も加わって、道具が異常に高価になってしまった。
結果、一種のマネーゲームのようになってしまい、茶の湯の本質を見失っていた。
そこで利休さんが国内で茶に湯に相応しい器を造らせたり、見立てによって、道具の新たな価値を見出して茶の湯をデザインし直した。
利休さんは器のための茶から茶のための器にした。

と。

その変革の時から400年以上、少しづつ形を変えて現在に至っている茶の湯。
伝統文化と言われて、あまり変わっていないように思われがちですが、利休さんの時代から比べれば、大きく変わってしまったのかもしれません。
若宗匠は桃山時代の茶の湯に戻したいと何かでおっしゃっていましたが、
利休さんが成したように、ここでもう一度茶の湯をデザインし直そうとしているのかもしれません。

(NHK水曜 F.M. 記)




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